サロンパス

CDのいいところは、おすすめを貸したり借りたりできること。レコードのいいところは、「音楽を聴くぞ!」という自分の意思と向かい合い、ワクワク感を募らせる手間がともなうところ。いろんなメディアで音楽を聴けば、楽しさに立体感がでるし、音楽世界の広がり方も多元化して豊かになる。気がする。

 

わたしがミツメと出会ったのは、去年、スカートを知ってすぐのころ。実はスカートも、トリプルファイヤーも、ミツメも、その存在を知ったのはごく最近のことで、当時は「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”~~この数年わたしはなにをしていたんだよぉ~~~~日本にいながら、東京にいながらァァァ~~~……」と後悔に苛まれて壁に頭を打ちつけるほどショックだった。いや、今だってまだまだ全然リアルタイムで見逃してきた、聴き逃してきたいいものたちを思うと焦燥感でめちゃくちゃに走り出しそうになるけれど……。とにかく、いま高校生のころのように、または生き急ぐように、音楽を聴きまくるきっかけとなったのは間違いなく彼ら東京インディー三銃士の存在だ(スカートはメジャーだけど、このひどくダサい呼び方がたまらなくすきなんだ)。

それまであまり日本の"今の"音楽を積極的に聴いていなかったわたしでも、「最近やたら耳にする"シティポップ"とはなんぞや」と思うことがあった。たぶん1年ちょっとくらい前だとおもう。その時は新しい趣味としてジャズ喫茶めぐりをはじめたころで、雑誌やSNSで情報を集めたり、座談会に顔を出したりして、自分に音楽の知識があまりにもないことを思い知り、特に貪欲になっていた。好きな気持ちに、なにもかもが追いついていなかった。恥を捨て、Google先生に「シティポップってなんですか」と聞いたところ、「まずはスカートを聴くといいですよ」と返ってきた。未だにこのジャンル分けについては釈然としないところもあるけど、おすすめしてくれたことには感謝しかない。

 

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YouTubeで『Call』のMVを見て、秒で心を奪われた。同サイトでありったけの音源を聴き、それからApple Musicでほかにもスカートの曲がないかチェックした。アルバムはなく、コンピレーションアルバムに入っている2曲だけがあったのだけど、拍子抜けしたわたしにApple MusicのAIがごく自然に「これも聴くっしょ」と、ミツメを並べて出してきた。その時はスカートとミツメのつながりもなにも知らなかったんだけど、なんとなく、2組ともお互いのことが好きそうだと思った。(その後CDを買いまくった。大人でよかった)

 

先月から今月にかけて、調子に乗ってトリプルファイヤーのライブに行きまくっている。そのせいもあってトリプルファイヤーばかり聴いていたんだけど、ふとジョギングの際にミツメの『エスパー』/『青い月』をかけたら、ゆったりめのわたしの歩調に思いのほか合って気持ちよく、いつもより2kmも長く走ってしまった。トリプルファイヤーで興奮しっぱなしだった神経に、ひんやりとサロンパスみたいに浸みた。音楽って効くな。

 

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ぐにょ~んとしたシンセやギターのエフェクトと、ほのかな不安を感じさせる不協和音が、ノスタルジーに涙で像がかすむようで、大切にしている美化された記憶を優しくゆさぶるようで、たまんないよね。

ミツメの音楽は、優しすぎて損する人がまとっているような音楽だな、と思う。それとYouTubeのコメント欄にもあったけど、キュンとさせそうでさせてこないイメージがわたしの中にもあった。

エスパー』も『青い月』も、やっぱり優しすぎてしまうんだけど、今回はいつもほど遠慮する様子もなく、切なさを共有してくれた感がある。それが“ポップ”ということなのか。

 

YouTubeの『エスパー』についたコメントを読んでいたら、なんだかわたしも熱くなってしまった。

 

ブログを更新する頻度が低くて、ほんとはこないだのOgre You Asshole(DJのsoi48もすごくよかった)とか、藤井洋平さん(\ライドン!/)とか、その前のCulpool(\NEOかわ~!/)についても書きたかったんだけど結局書いてなかった。もったいない。今週末はスカートのワンマンを見に行く。

 

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