ねこちゃんたち
うちの近所には野良ねこちゃんがいっぱいいる。こないだなんて、1日で14匹にも出会った。以前住んでいたところもねこちゃんがたくさんいる地域で、耳にV字にカットが入った子たちがベランダに遊びに来たりしていた。実は近所にねこちゃんがいるということも、今住んでいるこの土地に引っ越しを決めた要因のひとつだったりする(もちろん、要因ランキングの中では下のほうだけど)。ひとのお宅の塀や窓、茂みの下に「いないかな?」とねこちゃんを探しながら歩くのが楽しいのだ。あそこの私道には長毛の白猫ちゃん、こちらのお宅の窓にはきれいなアメショーちゃん、ここの駐車場には白猫ママと3匹の子どもたち。
ある時、珍しく白猫ママのファミリーが総出でご挨拶をしてくれた。子どもたちはいつも無邪気に飛び跳ねているのだけれど、白猫ママの警戒心が強いのだ。これは貴重だ、かわいい、と写真をパシャリ。翌日、ボランティアの方と近所の餌やりさんが捕獲用の檻を設置し、一家の避妊と去勢の手術をするんだと言ってねこちゃんたちを連れていった。
一家の住まいにしていた場所は元々私有地で、餌やりさんが無許可でご飯を置いていたがために居つき、子を産んで増えてしまっていたようだった。餌やりさんは一度、土地の所有者にひどく怒られたようで、それを機にボランティアさんに助けを求めたとのことだった。
「じゃあ、今日でお別れですね。最後に会えてよかった」
「うーん、手術後、里親を探す予定だけど、どの子ももう大きくなってしまったから貰い手が見つかるかどうか……。ところであなた、猫飼いません?」
「うちにはもう2匹、いるので……お役に立てず、すみません」
なんとなく去りがたく捕獲の準備を見ていたけれど、スーパーの袋でふさがった両手では何もできそうにないので、間もなくその場を後にした。「がんばってください」と言うと、ボランティアさんは嫌そうな顔をした。
白猫ママ一家が新しい、暖かいおうちにありつけますように。